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トップページ > 地域情報紙 > トップインタビュー(vol.97)
今月のトップインタビュー

  集まれ! 輝け! 地域資源

     フジパク 富士山博覧会 実行委員長
  山﨑 裕敏



 今月号の表紙は少しインパクトが強過ぎたかもしれないが、この方は富士市内で昭和初期から3代続く酒屋のご主人であることをまずは述べておきたい。山﨑裕敏さんは本業と並行して、地元発の体験型プログラムイベント『フジパク・富士山博覧会』の実行委員長を務めている。表紙の姿は来年2月の開催を控えたこのイベントを告知し、盛り上げるための“正装”というわけだ。
 山﨑さんはこの他にも、計64施設が加盟する『富士市まちの駅ネットワーク』の事務局長や、民間活力を利用した政策提言や研究を行うNPO法人『ふじPFI研究会』の理事などを務め、富士市内における様々な地域活動に携わりながら、忙しい日々を過ごしている。働き盛りの商店主がなぜこれほどまで熱心に地域活動に励むことができるのか。そこには郷土愛や人好きな性格はもちろんのこと、持続可能で自立した経済環境を作ることが地域活性化の鍵だとする信念がある。まちを盛り上げ、人と人とを結び付ける、公共心あふれる商人魂を、損得勘定なしで応援したい。




 地域の人自身が、地域の魅力を知る
 まちおこしはそこから始まる


 まずは間もなく開催される『フジパク・富士山博覧会』について教えてください。

 「『フジパク・富士山博覧会』(以下フジパク)は、富士山周辺の人・文化・歴史・産業などの地域資源を活用した約30の体験型イベントを約1ヵ月間にわたって同時多発的に開催するというものです。毎年2~3月の開催で、次回で5回目になります。最大の特徴は、地域の人が自ら案内人となって、その地域の魅力を紹介するという点です。解説を聴きながら歴史や文化を学ぶまち歩きや、プロの技術を教わる食品や雑貨作りのワークショップなど、内容は様々ですが、事前に企画者を募り、それぞれの発案したプログラムを個別に開催するので、主役はあくまでも企画者とそこに参加する人達です。各プログラムは多いものでも定員30名程度の規模で、得意分野や専門知識を持つ人が参加者との交流を持つ中で、地域の魅力を相互に知ることができます。フジパクのサブタイトルとして掲げている『人が輝き、魅力あふれる街へ』という言葉に集約される通り、このイベントの核となる部分です。」


 山﨑さんご自身もプログラムの案内人として参加されるそうですね。

 「僕は須津(すど)地区で生まれ育ったので、これまでに須津川渓谷や根方街道、今泉から比奈にかけての湧水エリアのまち歩きなどを企画してきました。また酒屋という職業柄、お酒のアドバイザーを兼ねて、イベントの最後にエンディングパーティーなども開催しています。フジパクの実行委員長や案内人としては『ヒロ☆ヤマザキ』という名義を使っていて、パンフレットなどでは大きな蝶ネクタイをつけて登場します。もちろん普段はこんな格好はしていませんよ(笑)。キャラクターが際立つことで多くの人の記憶に残ってくれればいいなと思っています。」


 フジパクを発案したそもそものきっかけは?

 「以前から富士市のまちの駅(※1)として自分の店舗を登録していて、地域活動にも参加していましたが、事業のネットワークや人との繋がりをもっと活性化できないかと考えていました。また、地域全体の活力や産業がどんどん弱まっていく状況を感じていて、これをなんとかしたいという思いもありました。そんな中、ある市民講座に参加した際に、温泉で有名な大分県別府市で開催されていた『オンパク(別府八湯温泉泊覧会)』の事例を知り、これは面白い!と直感しました。新しいまちおこしの手法として全国的にも広まりつつあったので、まずは一人で別府を訪れ、2泊3日の研修会に参加しました。オンパクは温泉宿の若い主人達が自発的に始めた活動が基になっています。大都市からの団体客に依存する体質のまま、どんどん客足が遠のいていく温泉街の状況をなんとかしようと、宿のチェックインから夕食までの間、主人自ら宿泊客を連れてまち歩きをする『路地裏散歩』という取り組みから始まり、それが見事にヒットしたんです。観光客がより深く別府の魅力に触れる場を作り出しただけでなく、地域の人自身がその土地の魅力を知るきっかけになり、その後『オンパク』というプロジェクトへと成長していく過程が素晴しいと思いました。また安易に行政や組織力に頼らず、まずは自分達のやりたいことをできる範囲でやろうというスタイルにも共感できました。その手法を富士に持ち帰ってまず始めたのが『まちなか探検隊』という活動で、月に1回自由参加で集まり、富士市内のまちなかを2時間歩くというものでした。まちの駅のネットワークを通じて各地域に詳しい案内人をお願いして、その土地に残る歴史的な建物や伝承などを紹介してもらうのですが、地元紙による取材やメールマガジンでの告知もあって、多い時には参加者が20人以上になることもありました。まちなか探検隊を1年間続けたことでプログラムが整い、それらを集めて同時開催する、現在のフジパクが生まれることになりました。」


 年に一度のフジパクの他にも、イベントの開催や地域活性化のへ取り組みを随時行っているそうですね。


 「フジパクやまちの駅のネットワークから派生した旬のイベントは、その都度企画・開催しています。最近では岳南電車の夜景ツアーなどが、まさに旬ですね。富士市東部を走る岳南電車は今年7月に『日本夜景遺産』(※2)に認定されました。施設型の夜景として、東京タワー展望台など全国的にも知られたスポットと同格に並んだ形ですが、車体や駅舎を含めた鉄道全体としての認定では日本初の快挙です。4年前の第1回フジパクで開催した岳南鉄道(当時)夜景ツアーがきっかけで、僕達もこれまでPR活動に取り組んできましたが、今回の認定で特に嬉しかったのは、作り物ではない、鉄道そのものの夜景が評価された点です。暗闇の中を通り抜けていく電車の明かりや、昭和の風情を残してほのかに照らし出される駅舎などは他では見られない貴重な地域資源で、後世に残すべきものだと認められたことは、岳南電車の存在価値を見直す上でも大きな意味があると思います。これまでにも『工場夜景ビアガーデン』や『全線車内灯消灯電車』など、岳南電車を絡めたイベントを企画してきましたが、レトロで温かい雰囲気を持つ岳南電車の魅力を、より多くの人に知ってもらいたいですね。」


 それほどまでに山﨑さんを駆り立てる原動力は?

  「基本的には生まれ育ったまちを元気にしたいという気持ちです。ただ、僕は自分の活動をボランティアだと言ったことは一度もないんです。フジパクのパンフレットには開催の目的として、『地域活性化』『地域で輝く人達の発掘とステージ提供』『新しい産業の創造』という3つの柱を明記しているんですが、僕としては3番目の、産業の創造という点を重視しています。健全にお金が回ってこそ初めて地域活性化といえるのであって、商売人の感覚では本来それは当然のことです。地域活動というと、どうしてもボランティアによる持ち出しというイメージを持たれがちですが、ボランティアだから提供する内容もそれなりのレベル、責任も持てませんというのでは、それ以上の発展は望めません。あくまでも事業として捉えて、地域内でお金が循環する仕組み、地域の外からお金が入ってくる仕組みを長期的な視点で作っていくことが大切です。その点では環富士山という形で行政の枠を超えた連携も必要だと思います。具体的にはおみやげなどに使いやすい地場産品の開発や、岳南電車と富士山の湧水エリアを軸にした観光イベントプログラムの開発などにも取り組んでいきたいと考えています。地域の人が地域の魅力を知ったら、次はその魅力を地域の外に発信することが大切です。富士を目的地として外からたくさんの人がやって来て滞在する、そんな魅力ある地域へと育てていきたいですね。」




(※1)まちの駅
既存の店舗や公共施設をトイレ休憩や観光案内など、だれでも気軽に立ち寄れる場として活用することを目的として、全国に約1,500ヵ所が登録されている。富士市では2004年より「富士市まちの駅」が組織され、現在では富士・北部・吉原・東部のブロックごとに、地域活性化を目的としたイベントなども行っている。2014年12月現在、富士市内には64駅の登録がある。


(※2)日本夜景遺産
一般社団法人・夜景観光コンベンション・ビューローが全国各地の夜景の再発見と観光資源としての価値を付与する目的で認定している。検定試験を経た夜景鑑定士と事務局の投票で決まり、これまでに全国170ヵ所余りが認定されている。富士市内では岳南電車の他に、富士川サービスエリアから見える夜景も認定を受けている。




 山﨑 裕敏 (やまざき・ひろとし)


 フジパク 富士山博覧会 実行委員長

 酒舗やまざき 店主


 1965(昭和40)年10月18日生(49歳)

 富士市中里出身・在住

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須津中、富士東高校を経て専修大学経営学部に進学。卒業後は家業の酒屋を継ぐため富士市に帰郷。昭和10年創業の山﨑酒店(現在は「酒舗やまざき」に改称)の3代目となる。地域活性化に関心を持ち、2006年に「富士市まちの駅」に「須津・酒と肴の語らい」として登録。2012年からは同組織の事務局長を務める。また2010年に取り組み始めたまち歩きイベントを発展させる形で、2011年2月に第1回『フジパク・富士山博覧会』の開催に尽力。以後毎年の開催でも実行委員長を務める。2012年7月に一般社団法人フジパクを組織し、代表理事に就任。事業としての地域活性化を模索しながら日々奮闘中。





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 プログラムなど詳細の発表は1月中旬予定!
 問い合わせTEL:0545-34-4425(受付時間 10:00~17:00)

  ● ウェブサイト:http://fujipaku.info/
  ● Facebookページ:https://www.facebook.com/fujipaku





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過去のフジパクで人気のあったプログラム、須津地区の歴史を辿るまち歩きツアーの様子。


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日本夜景遺産に認定された岳南電車・岳南江尾駅の夜景。郷愁漂うレトロな佇まいは大都市からの観光客や鉄道ファンにも好評。


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『全線車内灯消灯電車』のイベントの様子。全線を通じて消灯するのは全国初の試みで、沿線の工場夜景や田園地帯の暗闇など、変化に富んだ約9.2kmを楽しめる。

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