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トップページ > 地域情報紙 > トップインタビュー(vol.94)
今月のトップインタビュー

 「働きたい !」を支えたい

     若者のためのキャリアデザイン支援室  fきゃる
     キャリアコンサルタント
                    
勝亦 綾子


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引きこもり、ニート、ワーキングプア、リストラ、パワハラ、ブラック企業…。最近のニュースではすっかり耳慣れたものになってしまったこれらの言葉、列挙すると陰鬱な気持ちになってしまうが、それだけ昨今の就職事情が厳しく、深刻な社会問題化しているということでもある。働くということは目的も手段も人それぞれではあるが、こういう時代だからこそ、とりわけ未来ある若い世代には真摯な姿勢で仕事と向き合い、何よりもチャレンジする気持ちを捨てないでほしいと願うばかりだ。
 今回紹介する勝亦綾子さんの仕事はキャリアコンサルタント。簡単にいうと、「職業の相談に乗る職業」だ。富士市が運営する若者向けの就労支援施設『fきゃる』の専属スタッフとして勤務する中で感じたこと、またこの道10年の経験から導き出された自身の職業観について伺った。物静かでおっとりとした佇まいの中からも、飽くなき向上心と地域の若者への熱いエールが伝わってきた。




 誰かのためになるからこそ、学べる、活かせる


 キャリアコンサルタントとはどのような仕事ですか?

 「就職を希望する人に対してさまざまな角度から相談支援を行う専門職で、その人が持っている興味や能力、価値観に合った適職を一緒に発見して、サポートするのが仕事です。よく間違えられるのですが、ハローワークのように具体的な求人の紹介や斡旋をするわけではありません。私がこの仕事に就いたのは、短大を卒業して学校の事務員をやっていた頃、不登校になる生徒やうつ病を患って休職する先生達を身近で見て、社会の中で生きづらさを感じている人の助けになりたいと思ったのがきっかけでした。もともと社会人になってからも何か自分を高めるための勉強がしたいと思っていて、働きながら大学に編入して心理学を学んでいました。当時はちょうどリストラやフリーターなどの言葉が一般的に使われるようになった頃で、キャリアコンサルティングという支援の形が注目され始めた時期でもありました。そんな中、運良く沼津市の静岡県ヤングジョブステーションで働く機会をいただいて、以来10年近く就労支援の仕事を続けています。」


 その後、静岡や清水の各機関でも経験を積んで、 2年半前から富士市のfきゃるで勤務しているんですね。

 「富士市で働くことを決めた理由は、自分が生まれ育った地元の人々を支援したいという気持ちが強かったからです。富士から沼津や静岡まで継続的に相談に来るのは難しいという声を聞く機会も多く、以前からジレンマを感じていました。就労支援は国や県が行うのが一般的で、市町村レベルで独自に取り組んでいるのは非常に珍しいのですが、それだけに富士市が運営するfきゃるから話をもらった時、まさにここが私の職場だと思いました。知名度はまだまだですが、昨年度の相談件数は約450件にまで増えてきました。相談の内容は様々で、自分がやりたい仕事が分からないという漠然としたものから、履歴書や職務経歴書の書き方や面接対策、相談者が持参した求人票を見ながら一緒に検討するということもあります。また長期間の引きこもりからようやく外に出られるようになったという人や、発達障害や精神疾患を抱えた人、その家族なども相談に訪れます。相談の回数も1回限りという人もいれば、10回20回と重ねる人もいます。」


 それらすべての相談に個別に対応するのは大変ですね。


 「そうですね。ただ、すべてを型にはめるような対応をしても意味がありません。まずは相談者の話をよく聞いて、その人の性格や適性、訪問に至った背景をしっかりと見極めることにこだわっています。その上で具体的な相談に入るわけですが、私の知識が乏しい職種の話になる場合などは、その都度勉強しないといけません。最初の頃は分からないことだらけで、いろんな仕事の本を100冊以上は読みました。頼りにされる立場だけに、私の発言や態度が相談者の人生に大きな影響を与えてしまうこともあるので、中途半端な知識でいい加減なことを言うわけにはいきません。また自信を失っている人には背中を押すように、前のめりになり過ぎている人にはブレーキをかけながら、対応の仕方も変えていく必要があります。自分の中の引き出しを増やすために、ずっと勉強し続けなければならない仕事です。でも、まさにそれがこの仕事のやりがいでもあって、同じ勉強をするにしても、自分のためだけだとなかなか続きませんが、誰かのためになると思えばやる気も出るし、身につきますよね。その上で、就職が思うようにいかず挫折感や自己嫌悪を抱いて塞ぎ込んでいた人が、相談を重ねることで少しずつ自信や社会性を取り戻して、いきいきとした表情に変化していく姿を見られるのは嬉しいことです。さらにその先、見事就職が決まったとなればもう最高で、この上ない喜びを感じられる魅力的な仕事だと思います。」


 楽しいから働くのではなく 働くから楽しくなる


 どういう人にfきゃるを利用してほしいですか?

 「何か大きな悩みがないと利用してはいけないと思われがちですが、そんなことはありません。まずは気軽に来てもらえればと思います。将来の進路についてや履歴書の書き方など、自分ではこれで正しいと思っていることでも、一応他人の意見も聞いておこうかな、という程度でいいんです。客観的な意見を踏まえることでより一層自信が高まったり、逆に思いがけない新しい道が広がったりすることもあります。実際には何度も転職を重ねたり、働いていない期間が何年も続いていたりと、本当に困り果ててから初めてfきゃるを訪れるという人も多く、もっと早く来てくれていれば…と感じることがあるのも事実です。逆にいうと、私が若者の支援にこだわるのは、より早い段階で問題を解決することで、彼らには将来が大きく開ける可能性がいくらでもあるからなんです。」


 多忙な日々だとは思いますが、休みの日の過ごし方や趣味についてお聞かせください。


 「休日は自分の知識やスキルを高めるためのセミナーなどに参加することもありますが、基本的には仕事と休みはきちんと切り替えるように心がけています。私自身がリフレッシュできていないと、仕事の相談に乗ることなんてできませんから。趣味は旅行やお菓子作り、それと茶道です。流派は裏千家で、最近ようやく茶名という、専任講師にあたる資格を取得しました。短大時代になんとなく茶道部に入ったのですが、やってみると奥の深さに驚きました。細かい作法や数センチ単位で決められた道具の位置など、知識や技術を習得して、ひとつひとつ課題をクリアしていく過程がすごく楽しいんです。その感覚や面白さはコンサルタントの仕事とも共通する部分があるのかもしれませんね。」


 最後に、勝亦さんご自身にとっての「仕事」とは、どんな存在ですか?

 「生きていくために欠かせないものだと思います。収入を得るためというのは当然ですが、それだけではなく、仕事をすることでいろんな経験を積むことができたり、いろんな人と出会えたり、自分自身を高めることができます。もちろんお金をもらう以上、どんな仕事も大変で、自分がやりたいことだけをやれるわけではありませんが、その分得るものも大きく、私は学生時代よりも社会人になってからの生活の方が断然楽しいと感じますね。今回のインタビューも、私がこの仕事をしているからこそいただいたご縁だと思います。それにしても、いつもは聞き役が多いのでこうして自分の話をするのは新鮮ですが、やっぱり緊張しますね。fきゃるに相談に来る人も最初はこんな気持ちなのかなと、理解が深まりました。よし、これでまたひとつ、仕事に役立つ引き出しが増えましたね(笑)。」





 勝亦 綾子(かつまた・あやこ)


 若者のためのキャリアデザイン支援室

 fきゃる

 キャリアコンサルタント


 1976(昭和51)年6月30日生 (38歳)
 
富士市大淵出身・在住

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富士東高校、山梨県立女子短期大学を卒業後、富士市内の小・中学校で事務員として勤務する傍ら、武蔵野女子大学(現・武蔵野大学)人間科学部に編入し、通信教育で心理学を学ぶ。2005年、キャリアコンサルタントとして静岡県ヤングジョブステーション(沼津市および静岡市駿河区)に勤務。2008年には厚生労働省所管の静岡地域若者サポートステーション(静岡市清水区)に活躍の場を移し、2012年から現職。約10年間のキャリアで対応した相談件数は5,000件以上にのぼる。2級キャリア・コンサルティング技能士(国家資格)、認定心理士、産業カウンセラー、心理相談員、教育カウンセラーなどの資格を持つ。


【若者のためのキャリアデザイン支援室 fきゃる】


「富士+キャリア+ルーム=fきゃる」
富士市が開設している若者向けの就労支援機関。原則として15歳~40歳未満が対象だが、これに当てはまらない人や本人の家族、在職者からの相談にも、専門のキャリアコンサルタントが丁寧に対応。就職に関する相談、適職診断、応募書類作成、面接練習などの個人向け支援に加え、富士市内の各学校が行うキャリア教育(職場体験・職業講話)のコーディネートも手掛けている。相談は無料(予約優先)で富士市外の人でも利用可能。

富士市本市場432-1 フィランセ東館1F
 富士市就労総合支援センター内

 駐車場あり
利用時間:月~金曜 8:30~17:00
    (土日祝・年末年始は休み)
TEL&FAX:0545-32-6958
E-mail:f-kyaru@machi-yumin.com
ウェブサイト:http://f-kyaru.com/

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