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トップページ > 地域情報紙 > トップインタビュー(vol.90)
今月のトップインタビュー


 づくり  まちづくり

      富士市オープンガーデン 代表   
齋藤 勝江



 今年1月に『富士市オープンガーデン』の新代表に就任した齋藤勝江さんは、30年近くにわたって地域に根ざした花づくり活動を行ってきた人物だ。イギリス発祥のオープンガーデンとは本来その名の通り、自宅の庭を公開して交流を楽しむ活動のことだが、齋藤さんが目指す姿はもうひとつ先にある。個人宅の庭をオープン(公開)にするだけではなく、元々オープン(公共)な空間を花で染め上げ、地域の財産として共有していこうという発想だ。個人宅の庭や公共の花壇を点とすれば、その点と点を結ぶルート上にも花を咲かせることで線や面にしていく『フラワーロード活動』を展開し、若年層や中高年男性にも参加を呼びかけている。主婦が家事の片手間でやるような楽な作業では決してないはずだが、地域の花づくりは途絶えさせてはならない活動だと語る齋藤さんに、その熱い思いを伺った。



 花咲く散歩道を広げたい、歩きたい



 富士市オープンガーデンとは?

 「富士市では10年くらい前から、主に大渕地区の方々がお互いの庭を公開することで交流してきたんですが、市が主催したオープンガーデン講座の修了生や庭づくりの愛好家を募って、2年前に任意団体として発足したのが富士市オープンガーデンです。また個人宅の庭だけではなく公共施設や道路脇の花壇など、常にオープンな状態にあるものも含めた相互交流と地域の活性化を目指そうということで、庭の公開を条件とせず、広く会員を募っています。現在は38名にまで増え、花を介して集い、学び合う喜びを共有しながら日々活動しています。具体的には会員相互の庭巡りや庭の一般向け共同公開、ガーデニング講習会、市外への視察研修などで、富士市が開催する『花と緑の百科展』ではパネル展示などの広報活動も行います。私は発足のきっかけになった講座で講師をさせていただきましたが、花づくりに関しては私よりも知識や経験が豊富な方がたくさんいますし、そもそも花づくり庭づくりは人それぞれです。公開している庭は個性豊かでオーナーも熱い人達です。同じ花を植えていても、オーナーの好みや植え方によって、まったく違う表情を見せます。私自身はまだ自宅の庭を公開していませんが、会の活動全体を支える環境を維持しながら、地域を巻き込んだ取り組みを展開していきたいと思っています。」


 花と関わるようになったきっかけは?

 「最初のきっかけは幼稚園で働いていた20代の頃です。当時の園長先生が美術に造詣の深い方で、園児に焼き物を作らせて、その器に花を植えようということになったんです。当時は何の花を植えたら育つのかも分からない手探りの状態で、当然ながらうまくいかないこともたくさんありました。腐葉土を入れるといいと言われて、ちぎった枯れ葉をそのままプランターに撒いていたくらいですから(笑)。それでも園児が持参する花の名前を一緒に図鑑で調べたり、保護者にもいろいろと教えてもらったりして、花への興味がどんどん湧いていったという感じですね。また幼稚園を退職後、育児中に2年ほど園芸店で働いた経験も大きかったです。店主が花の仕入れに出て、私一人で店番を任されることが多かったんですが、パートとはいえお客さんに花のことを問われて知りませんとは言えず、毎日が勉強でした。その時に学んだ知識は今でも役に立っています。ただそれと同時に感じたのは、私は花を売りたいのではなく、自分自身で花を育てたいんだという思いでした。」


 本格的な花づくりの始まりですね。


 「育児や介護が落ち着いたところで、『富士市花の会』に誘われ、そこで年配の方々に種蒔きの基本から教わりました。富士市花の会は発足から47年になりますが、発祥は私の住む吉永地区で、約20名の有志が始めた活動が『吉永花の会』となり、それが広く富士市内に波及したものです。現在はこの地区のメンバーが高齢化してきたこともあって、大きく組織化された花の会からは離れて、『吉永花なかま』として地域内で独自に活動しています。男女比は圧倒的に女性が多いですが、下は小学生から最高齢は85歳まで、幅広いメンバーです。10ヵ所の公共花壇と苗場があって、基本的にはそれぞれを当番制で管理しています。私は自宅の庭でも花を育てていますが、公共の場に花を咲かせることはとても大切だと考えていて、それは地域の人々が半世紀前から脈々と育んできたものを受け継いでいかないといけないという思いでもあります。道路の造成や区画整理で生じた隙間はコンクリートで固めてしまえば簡単ですが、それっきり誰の目にも触れない場所になってしまいます。そこにちょっとした花があるだけで印象はずいぶん変わりますし、花づくりを通じて世代を超えた人々の交流が生まれることで、地域の活性化や風通しの良い関係性を生み出します。また、報酬もなく汗水流す後ろ姿を次世代に見せることも大事なことだと思います。」


 フラワーロードとは?

 「自分の住んでいる吉永地区・神戸地区・富士緑道のある国久地区などで協力してくれる方を募って、通りに面したお宅に花を外から見えるように出してもらったり、花壇の手入れをする活動に参加してもらったりしています。オープンガーデンをやっているお宅や既存の花壇を結ぶようにしていけば、ひとつにまとまった花の道ができるというイメージです。花のきれいなお宅に飛び込みで訪問して、フラワーロードづくりへの協力をお願いするんですが、嫌な顔をされることはまずありません。『お庭の花がきれいですね、ぜひ門の外にも出してください。また見に来てもいいですか?』という感じで始まるつながりですから、上下関係も利害関係もないんです。花には人と人を近づける力があって、花を介して関わると、年齢も職業も関係なくなるから不思議です。初対面の人でもイベントなどで一緒に庭巡りをすると、終わる頃にはいつのまにか仲良くなってしまうんですよ(笑)。」


 花を上手に育てるコツは?

 「日当たり・水・風など、いろいろな条件はありますが、やっぱり一番大きな要因は土ですね。『花づくりは土づくり』といわれるほどです。ただ、その環境ごとに向き不向きがあって、自宅の庭で咲いたものを別の場所に移しても、うまく育つとは限りません。時間をかけていろいろと試してみて、その環境に合うものを見つけていくしかないと思います。最初のうちは闇雲にいろんな花を買ってきては植えたくなったり、人が育てている花を見るとすぐに欲しくなったりもしますが、その時期を過ぎたら、全体を見渡したときのボリュームや色彩のバランスなども含めて、自分だけの庭づくり、花づくりという視点で選別ができるようになってきます。個人的に好きな花を挙げるとすれば、コスモス、クロタネソウ、ハルシャギク、ヤグルマギクなどです。葉が細く風に揺れるような、可憐で楚々とした花が好きですね。」


 今後の目標は?

 「オープンガーデンやフラワーロードに参加してくれる方や地域を増やして、花いっぱいのまちにしていきたいです。さらに今後は『花の駅』と称したスポットを各地に作りたいと考えています。個人宅の庭や花壇で、花を見ながらベンチで休憩したり、おしゃべりできるような空間があれば、散策も楽しくなって、さらにいろんな交流が生まれるはずです。現時点では吉永・神戸地区のお宅で話がまとまり、富士川地区でも交渉が進んでいるところです。もちろん自分自身の花づくりでも、やってみたいことがまだたくさんあります。とにかく大切なのは花の気持ちになって育てることです。『どこが痒いの?痛いの?何が欲しいの?』と人間と同じように問いかけるんです。花と友達になるには庭はもちろん、道端・公園・花壇など、花の咲く場所に何度も立って、触れてみるしかありません。またそれは長い時間をかけて花のあるまちを守り続けてきた先人達の息吹を感じることでもあります。ただやっぱり自分自身が楽しくないと意味がありません。道行く人が花を見て微笑む姿で自分も笑顔になるという、ほんの些細な喜びですけどね(笑)。フラワーロードづくりもある意味、自分達の世代が老後に楽しむためにやっているようなものです。今日はこの花のところまで歩けたね、明日はあの花まで歩こうか、というような、花で辿れる散歩道を今のうちに作っておきたいんです。これからも花のある風景を見つけて、さらに増やしていきますよ。」






 齋藤 勝江(さいとう・かつえ)


 富士市オープンガーデン 代表


 静岡県花咲くしずおかアドバイザー
 静岡県グリーンアドバイザー
 静岡県グリーンバンク緑化ボランティアサポーター


 1950(昭和25)年2月28日生まれ(64歳)
 静岡市(旧蒲原町)出身

 富士市富士岡在住

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 東海大学短期大学部生活科学科を卒業後、富士市の光明幼稚園教諭として勤務する中で花づくりに関心を持つ。結婚後、家事や育児と並行して本格的に園芸を始め、富士市花の会をはじめとする地域活動に参加。女性初の緑化指導員を3期務める。関連する講習の受講や資格取得を積極的に行い、植物の知識に加えて廃品を利用した園芸グッズの提案など、個性溢れる庭づくりに関するアドバイスを発信する立場となる。また市内の学校や公共の花壇、通りに面した個人宅などの花を散策路として結ぶフラワーロードづくりを推進し、今年1月より富士市オープンガーデン代表に就任。花と緑を通じた人々の交流や地域活性化に尽力している。




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自宅の庭を彩る花々を愛でる齋藤さん

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吉永花なかまが管理する『渋脇花壇』(沼津線のローソン富士富士岡店を北へ約50m入る)

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花壇の手入れをするのは世代を超えて集う地域住民の皆さん

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一面が鮮やかなピンク色に染まる吉原第三中学校前の『ひめな花壇』



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 赤渕川沿いにある苗場からは花壇に植えるための若い苗が随時供給される



【富士市オープンガーデン】


4/26(土)・27(日)に開催された共同公開の様子。個性豊かな庭にはそれぞれの魅力があり、ついつい「はしご」をしたくなる。またオーナーに直接話が聞けるため、園芸を趣味とする人にとってはまたとない情報収集と学習の場にもなっている。


望月聖子さん宅 (富士市大渕)

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芝生を挟み和と洋が不思議に調和した庭に姫沙羅が似合う。
奥行きと立体感を楽しめるこの庭はオーナーのセンスを感じさせる。


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芝生に雑草ひとつ生えていないこの庭はご主人・照夫さんの協力があってのもの。

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オープンガーデンでは気のおけない友人と会話が弾む。


佐野美枝子さん宅 (富士市十兵衛)

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一面が鮮やかなピンク色に染まる吉原第三中学校前の『ひめな花壇』



井上恵子さん宅 (富士市十兵衛)

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 赤渕川沿いにある苗場からは花壇に植えるための若い苗が随時供給される





【富士市オープンガーデン共同公開】 [予約不要] [見学無料]
 5/24(土)25(日)10:00~16:00
    (公開時間はオーナーによって多少の変動あり)

会員の皆さんが丹精込めて育てた花々と趣ある庭を鑑賞してみませんか?
イベント全般に関する詳細は広報・望月明彦さん(TEL:090-5857-9260)まで。
詳しい地図などが掲載されたガイドブックが富士市内18ヵ所の園芸店および
富士市民活動センター・コミュニティf (TEL:0545-57-1221)にあります。
(上記3軒のお宅は5月の共同公開には参加しておりませんのでご注意ください)



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