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トップページ > 地域情報紙 > トップインタビュー(vol.85)

今月のトップインタビュー

  恩送り ~ 双子育児から学んだこと ~

         フジツインパワーズ 代表
  坂本 芳恵


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 お揃いの洋服に座席が二つ並んだベビーカー。よく似た顔でじゃれ合う双子の赤ちゃんを街で見かけると、ついこちらまで微笑んでしまう。一方で、その和やかな光景の裏側には、ただでさえ大変な育児を二人分同時に背負って奮闘するお母さんお父さんの姿があることも事実だ。また出産において双子以上の多胎児が占める割合は約2%といわれており、富士市内で1年間に生まれる赤ちゃんが約2,000人なので、意外と多くの双子や三つ子が身近にいるという計算になる。
 今回紹介するのは、富士市で活動する双子・三つ子の親子サークル『フジツインパワーズ』の代表を務める坂本芳恵さん。自身も双子の女児を含む三児の母として日々の育児に励みつつ、最近では趣味が高じて洋服作家としても知られるようになった。そんなパワフルな坂本さんだが、双子の子ども達が入り乱れて遊び、お母さん達が賑やかに交流する姿を見つめる優しいまなざしが印象的だった。その根底には物を整え、生活を整えることで生まれる穏やかな心と、自らが受けた多くの愛情への感謝の気持ちが込められていた。



『お飾り代表』だからいい 



 フジツインパワーズとは?

 「双子や三つ子の育児ならではの不安や経験を持つお母さん同士が定期的に集まって交流するサークルです。実は代表の私もそのルーツをはっきりとは知らなくて、20年くらい前に双子のお母さん達が自発的に始めたそうです。基本的に未就園児の母親が集まるので、当然ながらメンバーの世代交代もあります。私は富士市に引っ越してきて間もなく、双子の娘が1歳の時に入会して、幼稚園に入った2011年から代表を引き継ぎました。代表といっても本当にお飾りで、特に何をするわけでもありません(笑)。主役はあくまで現役世代のお母さん達ですから、月に1~2回の定例会では子どもを遊ばせながら、お互いの悩みを相談したり、情報交換をしたり、ただ楽しくおしゃべりをしたりしてリフレッシュできる場所があればいいんです。また子どもが就園してからもボランティアで参加してくれる先輩ママ達が世話役として活躍しているので、サークルはいつも笑顔と活気で溢れています。私はそんないきいきと輝いているお母さん達とかわいい双子ちゃん達を少し引いた立場で見て、楽しんでいるだけ。まさにお飾りでしょ?(笑)でもこうして一人一人が活発に動いているからこそ、このサークルは世代が変わっても継続しているんだと思います。対外的にはフェイスブックによる情報発信やフリーマーケットの開催を通じて各種メディアに取り上げていただいたこともあって、会員数は今年4月の時点から約1.5倍にも増えています。最近では市外からの見学や問い合わせもあるので、今後さらに活動の輪を広げていきたいと考えています。」


 
ご自身も双子育児の真っ最中ですね。

 「小学1年生になる双子の娘と、その上に4年生の息子がいます。今でこそ笑い話ですが、双子の妊娠が分かった時はショックで頭の中が真っ白になって、正直言って喜べませんでした。最初に伝えた時は夫も言葉を失っていました。当時は夫の仕事の都合で熊本県に住んでいたのですが、お互いの実家があるわけでもなく、周りのサポートも期待できない状況で、まずは無事に生まれてくれるのか、そして長男を含めた三人をこれからどうやって育てていくのか、とにかく不安で辛かったですね。そんな中、妊娠前からやっていたバドミントンのサークルで一緒だった仲間に救われたんです。仲間といってもほとんどが自分の母親世代のおばちゃん達ですが、双子が生まれた後も、『一緒に連れてきていいよ』と言ってくれて、私がバドミントンをやっている間、誰となく子どもの面倒を見てくれたんです。双子の赤ちゃんを連れて出かける場所があるだけでもありがたいことですし、そのおばちゃん達がまさに無償の愛で我が子を抱っこして可愛がってくれることが本当に嬉しかったです。富士市に引っ越してきてからも、当時私の作った洋服を置かせてもらっていたお店の方が、同じように気を遣ってくれました。子どもだけでなく、私が病気で寝込んだ時にはご飯を作って持ってきてくれたりして。私は身寄りのない土地でお世話になった彼女達を、現地妻ならぬ『現地母』と呼んでいるんです(笑)。私の子育てにおいて現地母の存在は本当に大きく、ありがたいものです。それでいて何か恩返しをしようとすると、彼女達は『いいのよ、困っている人がいたらその人にしてあげて』と言います。私が今もフジツインパワーズの活動を続けているのは、自分が現地母にしてもらったことを後輩ママ達につなげていきたいという気持ちが強いからです。直接相手にお返しするのではなく、次の人につなげていくから、『恩返し』じゃなくて『恩送り』。世話役をやってくれている先輩ママ達も、きっと同じ気持ちだと思います。双子の子育てという大変な環境を共有・共感できるからこそ、自分が助けられたように、次の人の助けになりたいという気持ちが、このサークルの一番の原動力だと思います。」



人気洋服作家は理系女子!


 子育てやサークル活動と並行して、趣味の洋服作りや読書の時間も大事にしているそうですね。

 「洋服作りは子どもが生まれる前から好きでやっていたのですが、イベントやお店で販売するようになったのは富士市に来てからです。抱っこひもの一種であるベビースリングを作って自分で使っていたら周りにも好評で、人の分まで作るようになったのがきっかけです。子育てでは何かが完了するということがほとんどなくて、それがストレスになっていましたが、洋服作りには出来上がりという明確なゴールがあるのがいいですね。読書も好きで、毎週図書館に行って10冊ずつ借りてきます。全部読めるわけではありませんが、どこへ行くにも必ず1冊は持ち歩いて、少しの空き時間にも本を開くようにしています。小説ではなく、育児書やビジネス本などの実用書が多いですが、最低でも1週間に5冊は本を読んでいます。子育て中であっても個人の時間を作るということはとても大切です。これはもちろんお父さんにも当てはまることですが、『~さんの奥さん』でも『~ちゃんのママ』でもなく、まずは一人の人間として心が満たされないと、周りの人を満たしてあげたいという気持ちは生まれてこないと思います。」

 それにしても、忙しい中で趣味の時間をどうやって確保しているのですか?


 「徹底した家事の合理化・細分化・分業化です(笑)。学生時代にバイオテクノロジーの基礎研究をやっていて、理系の思考回路が働くせいか、家事についても理論的に管理していくタイプですね。子どもの気まぐれにダラダラと合わせるのではなく、一日の時間割を決めたらきちんとその通りに行動します。上の子が幼稚園、下の双子が2歳の頃の時間割を例に挙げると、まずは自分も子どもも機嫌がいい朝のうちに晩ご飯の下準備まで済ませて、9時過ぎには子どもを連れてとにかく外出します。近くの公園や子育て施設でしっかり遊んで、お弁当を食べて帰ってきたらお昼寝。起きて上の子を幼稚園に迎えに行ったらおやつを食べて、なんと15時にお風呂に入れます。子どもがテレビを見ている間に洗濯や片付けをして、17時には夕食。19時半に子どもを寝かしつければ20時以降は自分の時間が作れます。『そんなに思い通りにはいかないよ~』と感じるかもしれませんが、これを毎日繰り返していけば、子どもにはそれが自然な習慣として身についてきます。むしろその日によってスケジュールが変わることは、子どもが一番嫌うことなんです。また分業も大切で、夫や子どもにも家事をやってもらいます。主婦がすべての家事を抱え込んで仕事を増やしたところで、誰も幸せにはなりません。今年の夏休み、私はお皿を一枚も洗いませんでしたよ(笑)。ただしここで重要なのは、任せたからには信頼すること。また細かいやり方や結果に対して文句を言わないこと。『これお願いね』と『ありがとう』だけでいいんです。」


 最後に何かメッセージがあればお聞かせください。

 「やはり一番伝えたいのは、『恩送り』という考え方ですね。私の場合は双子育児を通じていろんな人からいただいた恩を次の人につなげるつもりで活動していますが、これは他のことにも当てはまると思います。何も最初からボランティアや市民活動といった大きな話ではなくても、できることからでいいんです。例えば、道で会った人に気持ちよく挨拶するとか、住んでいるアパートの共有部分を掃いてみるとか。そういうことの積み重ねが、誰かに恩を送ることになると思います。そして時間や生活に余裕ができたら、それを少し広げて、関心のある社会的な活動に参加してみるのもいいのではないでしょうか。」




 坂本 芳恵(さかもと・よしえ)

 フジツインパワーズ 代表


 1973(昭和48)年2月27日生まれ(40歳)

 長崎県長崎市出身 富士市在住


 2004年に長男、2006年に双子の女児を出産。夫の転勤に伴い2007年4月より富士市在住。同年6月に『フジツインパワーズ』に入会。2011年より同サークルの代表となり現在に至る。子育ての合間に洋服を縫うのが趣味で、作った洋服は5年間で1,000着以上にものぼる。『sakamichi』の活動名で富士市柚木の雑貨店『Calm(カーム)』にて委託販売を行う。また独自の手法で家事の合理化を推進。子育てや日々の生活についての所感を交えた情報をブログで随時発信している。
  

  

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 ● 坂本さんのブログ 『sakamichi』 http://sakamichi2.exblog.jp/

 ● 旧ブログ 『サカミチ家の日記』  http://ameblo.jp/sakamichi-mama/



 FacetoFace85top3【ページトップの写真】
双子の愛娘の成長記録。「同じ遺伝子、同じ環境で育っても性格は全然違う。他人と比べながら生きることなんて何の意味もないことに気づかせてくれた」という。お揃いの洋服はもちろん坂本さんの手作りだ。

【左の写真】
坂本さんが作った洋服。一点一点への想いを込めた番号は1,000を超える。

 《委託販売先》Calm 器&雑貨
        http://calmslife.exblog.jp/






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フジツインパワーズ
 - Fuji Twin Powers ー
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 富士市で活動する双子・三つ子の子育てサークルで、現在は35組の親子が参加(12/1現在)。多胎児を持つ母親同士の相談や情報交換、育児用品の再利用など、活発な交流の場として機能している。また、自らの子どもが就園した「先輩ママ」達が世話役としてサポートすることで、育児に関する不安やストレスを抱える母親に貴重な息抜きの場を提供するとともに、大きな心の支えにもなっている。双子の出産を控えた妊婦や孫との参加も可能で、見学は随時受付中。問い合わせは世話役の神尾さん(TEL:090-6610-5300)まで。

● 年会費:   1,000円(会報誌作成・印刷代など)
活動内容:  定例会 (月に1~2回、富士市フィランセなどを利用)
         双子ママのフリーマーケット開催 (年に1~2回)
         会報誌の発行 (年に1回)
今後の定例会:1/10(金)10:00~11:30フィランセ東館4Fおもちゃ図書館
         1/27(月)10:00~11:30フィランセ西館2F保健指導室

ウェブサイト(フェイスブックページ)
     https://www.facebook.com/fujitwinpowers


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